東京地方裁判所 昭和29年(ワ)2351号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔事実と判断〕原告は本件土地を遠く明治四十年ころから被告国の前主鍋島直泰から借り受け地上に建物を所有していたが、昭和二十年三月強制疎開により地上建物は取のぞかれ原告は借地権を喪失した。原告は昭和二十三年五月中みぎ鍋島に対し罹災都市借地借家臨時処理法(以下単んに処理法と略称する)第九条、第二条にもとずき賃借りの申出をし、承諾をえて借地権を取得し、じ来この土地を建物所有を目的として占有使用して来た。したがつてみぎ賃借権は処理法第五十条により十年と法定され昭和三十三年五月二十三日まで存続したが、その後も原告がひきつずき土地を占有使用しているのに対して、物納により本件土地の所有者となつた品は、みぎ借地期間終了後遅滞なく異議を述べなかつた。
被告国は本件のような処理法第二条により設定された土地賃借権には借地法第四条または第六条は適用がないと抗争したが、判決は当然借地法の適用があるとし、更新後の賃貸借の期間は更新前の十年ではなく、借地法第五条第一項により二十年であると判示し、つぎのとおり説明した。曰く。
「かくして新たに設定された借地権に関しては、前借地権における十年の存続期間が戦後の異常事態を処理した臨時のものであること、一旦借地法が適用せられる以上は飽くまでも同法の趣旨に従うのが妥当であることを考慮すると、借地法第六条、第五条第一項を適用して、その存続期間は二十ケ年とするのが妥当である。